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レビュー
ジグソーパズルを堪能する
「旅芸人の記録」は新作「エレニの旅」を発表したアンゲロプロス監督が、70年代に発表したギリシャ現代史3部作の1つ。カンヌ映画祭で寺山修司の「田園に死す」と競い、国際映画批評家賞を受賞しました。「エレニの旅」では個人史的色合いが強くなっていますが、「旅芸人の記録」を観れば、この監督がもともとは、歴史とそれに巻き込まれる人民の関係をダイナミックに描く映像作家であることがわかります。
劇中劇でのエレクトラ神話と現実との相似構造、同じ場所で年代差のある複数の事件が継ぎ目なく現れるなどの複雑なカットバックが今見ても斬新です。映像美、スケールの大きさからみて劇場で鑑賞したかったところですが、今回のように、こうしたジグソーパズルのような構成に謎解きを挑むつもりで、自宅で冷静に鑑賞するというスタンスでも充分堪能できました。(1975ギリシャ/80-02-11 新宿文化シネマ1)
長回しの芸術
旅芸人の記録の映像の美しさは、息詰まらんばかりの長回しである。撮影現場は大変な緊張感があったろう。それだけに時代背景を抉り出している。フィルムではリバイバルのたびに見たので、3回くらい観ているが、手許におけるのは実に嬉しい。他の作品がリリースされるのも楽しみだ。霧の中の風景、などなど。
満を持して最も理想的な形で登場。
ヘーゲルの著作全集やバッハの教会カンタータ全集みたいなもので、売れる売れない関係無しに出版されるべきものでしょうね。
とはいえ、その登場を長年待ち望んでいたファンにとって、全集という最も理想的な形でのリリースが実現したことはまさしく快挙。
ありがたいことです。
遂に、ようやく、やっと。。。
ともかく出てくれただけで奇跡。 いや、何故これだけ色々なDVDがあってアンゲロプロスだけ出ないのかと身をよじっていたものとしてはまさしく僥倖。 一時はあきらめかけて中古LDボックスをオークションで手に入れようとまで考えた(プレーヤーも一緒に)が、止めておいてよかった。今は全てが感謝で満ち溢れている。ちなみに収録作品は「旅芸人の記録」「1936年の日々」「狩人」の3作品。
レビュー
内戦の同時代人に手によるスペイン現代史
1977年6月刊の講談社現代新書。つまり主題であるフランコが死去して1年半余りという時期で出版された書です。
それだけにフランコに対する歴史の評価がまだ定まっていない時代に書かれたと見る必要はあるでしょう。フランコ死去から来年で30年となる今では、この本以上にフランコ時代をより綿密に検証した歴史書がないとは言い切れません。
しかしこの著者は1927年にマドリッドで生まれ、自身とその家族がフランコの40年を身を持って体験しています。ですから、親兄弟ですら血で血を洗うような激しい闘争に身をさらすこととなったスペイン内戦を著者が一市民の目で見つめて筆を進めている箇所がところどころに見られ興味深く感じられました。
例えば著者の従兄弟は共和国側による拷問で命を落としていますが、それは伯父の秘書が共和国側に従兄弟を密告したのがきっかけでした。それでも内戦終結後、一転して共和国側が賤軍となった時代にも伯父は自分の秘書だった男を密告することがなかったといいます。憎しみの連鎖をどこかで断ち切ることの必要性をこの伯父は鋭く見抜いていたのでしょう。
ヒトラーやムッソリーニと同時代を生きたフランコが、大戦を超えて82歳という天寿を全うすることが出来たのはなぜなのか。その政治手腕を含め、スペイン現代史を手ごろなページ数で見渡すには適した一冊かもしれません。
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